はじめての方でも楽しめる
シンプルな保存食や常備菜を
スズキエミさんに教えていただきます。
芋の蔓がどこまで伸びたのかと探りながら腰を落とし、えいやっと引っ張る。ふちふちと髭根が切れて土から顔を出した芋たちを見て顔がほころぶ、空高い秋の日。
ひんやりとした空気の中始まった芋掘りも終わる頃にはすっかりと身体も温まっていた。袋いっぱいに持ち帰った芋はそのまま天ぷらになって晩ごはんの主役となった。それがとてもうれしく、美味しかったと小さな頃を思い出す。
今年もさつま芋の季節がやってきました。焼き芋、蒸し芋、天ぷら、煮物、プリンに大学芋と、おかずからおやつまで活躍するさつま芋。この季節に、なくてはならない食材ですね。
今回ご紹介する芋ようかんは毎年必ずこの時期に作るおやつです。さつま芋と砂糖、そして少しの塩だけで作るシンプルおやつは、芋の種類で出来上がりが変わってきます。近年は特に芋の種類も多くなったので、新しいものを見つけたら、この芋ようかんで特性を確認しています。
◆ 材料( 15㎝×15㎝の型 ) | |
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さつま芋 | 1本(400g) |
砂糖 | 大さじ4~6 |
塩 | 小さじ1/4 |
しっとり糖度が高い品種を使って固まらない場合は、さらしやラップなどで包み、茶巾にしてひと口おやつにするのもよいと思います。
●冷蔵保存3~4日
●冷凍保存約1ヶ月(食べるときは自然解凍で)
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1. | さつま芋は大きければ半分に切ってせいろなどで40~60分、竹串がすっと刺さるまで蒸す。熱いうちに皮をむき、つぶしながらざるで漉す。 |
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2. | 1を鍋に入れ砂糖、塩を入れて味を見ながら混ぜる。鍋を弱火にかけ、よく練りながら砂糖を溶かすように全体になじませる。 |
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3. | 熱いうちに型に入れ押し固める。ゴムベラなどを使って、型の隅まで入るようにきっちり詰める。 |
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4. | 粗熱をとりラップを芋ようかんにぴったり密着させてかけ、冷蔵庫で冷やし固め、食べやすい大きさに切り分ける。 |
カリッと食感とバターの風味。
あたたかいうちにどうぞ
①フライパンを弱火で熱しバター10gと芋ようかん適量を入れ、ほどよく焦げ目がつくまで両面を焼く。
甘じょっぱさがたまらない!
目からウロコの組み合わせ
①食パン1枚にバター10gを全体に塗り、薄く切った芋ようかん適量とシュレッドチーズ20gをのせトースターで色よく焼く。②器にのせ、好みで粗挽きこしょう適量をかける。
芋ようかんとすべての素材を
みたらしたれがまとめて無限ループ
①みたらしたれを作る(作りやすい分量)。鍋に砂糖 大さじ1・1/2、醤油 小さじ2、片栗粉 小さじ1/2、水 大さじ2を入れ、弱火にかけてとろりとしたら火を止め粗熱をとる。②器に、お好みの煎餅1枚をひと口大に割り入れ、七分立てにホイップした生クリーム大さじ2の半量を入れる。③2の上にバニラアイス適量、ひと口大に切った芋ようかん3個、生クリームの残り半量をのせて1を適量かける。
文・レシピ スズキエミ
宮城県の豊かな土地に生まれる。実家は米農家。レストランなどでの勤務を経て、家庭料理家として独立。季節を感じるごはん作りを提案する料理教室「暦ごはんの会」を主宰。「時間ではなく気持ちをかけて料理」がモットー。
オンライン料理教室/ 料理家スズキエミさんが主催する「一汁一菜暦ごはん」は二十四節気を一汁一菜で巡る会です。料理の動作の音、水や火の音と季節の光や風を感じられる料理動画の配信に合わせ、塩梅や頃合いを丁寧に記載したレシピ、そして季節のお話しや、料理の思い出を綴った読みものをお届けしています。
https://koyomigohan.base.shop/本書では、春・夏・秋・冬、それぞれの季節の旬の食材を使ったジャムや漬け物や干し野菜などの保存食レシピに加え、それらを生かした献立もご紹介。どのレシピも、手順を写真付きで詳しく説明しているので、手仕事に慣れていなくても、すんなり作ることができます。