はじめての方でも楽しめる
シンプルな保存食や常備菜を
スズキエミさんに教えていただきます。
さざんか咲き、日短く冬の気配が濃くなれば、足元の寒さも増してくる。増す度に靴下重ね3枚目。3枚目の厚手の靴下をはいた頃にお節の準備が始まります。
去年のことを思い出し、引き継ぐところと改善点を紙に書き、カレンダーと話し合うのが恒例となっています。ここ数年はこの日にこれを、というのが大体決まってきました。
末広がりの八の字が入る二十八日は黒豆を煮ます。今回ご紹介する黒豆は、しわを寄せずに艶っとした仕上がりになるような作り方です。
シンプルな材料で作る煮豆なので砂糖の種類の違いで出来上がりも随分と変わります。お節料理の黒豆は他との兼ね合いで、すっきりと仕上がるようにグラニュー糖で煮ています。普段のおやつで食べるときにはきび砂糖で煮る、というように変えてみるのも面白いと思いますよ。
◆ 材料( 作りやすい分量 ) | |
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黒豆 | 200g |
砂糖(グラニュー糖) | 200g |
塩 | 小さじ1/3 |
水 | 900cc |
※あれば鉄玉子 |
煮汁が残ったら、こんなアレンジはいかがですか? 煮汁をホットミルクで割って、やさしい甘さの黒豆ミルクに。寒天を使って、黒豆寒天ゼリーもおすすめです。
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1. | 黒豆は容器に水をため、水を替えながら2、3回洗う。皮がはがれやすいので、手でやさしく洗う。 |
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2. | ボウルに、洗った黒豆と分量の水を入れ8〜12時間浸けてしっかりと戻す。 |
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●浸水すると豆の中がふくらみ、ぷっくりとして戻す前より大きくなる。 | |
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3. | 2を戻し汁ごと鍋に移し、砂糖を加え、軽く混ぜて鉄玉子を入れ中火にかける(蓋はしない)。 |
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●ここで、鉄玉子など鉄のものを入れると、黒い色が濃く仕上がる。 | |
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4. | 沸騰してアクがでてきたら丁寧に取り除く。 ●ボウルに水を張り、アクを水に落としながら取り除く。 |
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5. | アクをだいたい取ったら弱火にして、煮汁から豆が出ないようにオーブンシートなどで作った中蓋をする。鍋蓋もして1時間半〜2時間半ほどじっくりと火を通す。 ●中蓋をすることで、煮汁が対流して豆が浸かった状態になるのでしわが寄らない。 ●ときどき鍋蓋をはずして様子を見る。煮汁がぼこぼこと沸いていたら少し鍋蓋をずらす。様子を見た時に煮汁が極端に減っていなければ、基本的に水は足さない。 |
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6. | 豆がやわらかくなったら塩を加えて火を止める。 |
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7. | 鍋を中蓋をしたままの状態で半日以上かけて冷ます(鉄玉子を入れた場合は冷めたら取り出す)。 ●冷めていくときに味が染みて色も濃くなり、余熱で少しやわらかくなる。 |
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8. | 保存するときも豆が空気にふれないよう、煮汁に浸かった状態を保つために上部にラップをしてから容器の蓋をする。 |
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●保存期間 冷蔵庫で1週間 |
文・レシピ スズキエミ
宮城県の豊かな土地に生まれる。実家は米農家。レストランなどでの勤務を経て、家庭料理家として独立。季節を感じるごはん作りを提案する料理教室「暦ごはんの会」を主宰。「時間ではなく気持ちをかけて料理」がモットー。
オンライン料理教室/ 料理家スズキエミさんが主催する「一汁一菜暦ごはん」は二十四節気を一汁一菜で巡る会です。料理の動作の音、水や火の音と季節の光や風を感じられる料理動画の配信に合わせ、塩梅や頃合いを丁寧に記載したレシピ、そして季節のお話しや、料理の思い出を綴った読みものをお届けしています。
https://koyomigohan.base.shop/本書では、春・夏・秋・冬、それぞれの季節の旬の食材を使ったジャムや漬け物や干し野菜などの保存食レシピに加え、それらを生かした献立もご紹介。どのレシピも、手順を写真付きで詳しく説明しているので、手仕事に慣れていなくても、すんなり作ることができます。