りんごの見た目、いつもと違う?
酷暑の爪痕残る今年のりんご事情
いよいよ12月も半ば。ようやく冬らしい寒さになってきましたが、今年の夏の異様な暑さはまだみなさんの記憶に新しいのではないでしょうか。あの酷暑は、今旬を迎えている冬野菜や果物にも影響を及ぼしています。特に悲鳴をあげているのが「りんご」とりんごの生産者です。
りんごといえば赤々ときれいに色付いたものがイメージされますが、今年はいつもと違った様子です。
まず今年の春にりんごを襲ったのは「凍霜害(とうそうがい)」。春に芽吹きはじめたりんごの花が、春の急激な気温低下で寒さや霜にあたってしまう被害です。本来育てるはずの真ん中に咲く「中心花」が凍霜害に遭ってしまうと、周りに咲く「側花」を育てることになります。
りんごの中心花と側花
側花のりんごは、中心花のりんごに比べると皮に傷がついたようにみえる「サビ果」や、奇形、小玉になりやすい傾向があります。
皮が錆びたようにみえる「サビ果」
そして次にやってきた夏は、強すぎる日差しにより果皮が傷んでしまう「日焼け果」が多く発生しました。
日焼け果の例(NSニッセイ・アップルファームさみず)
りんごがきれいに色付くには、ほどよい日光が必要なため、通常は葉を適度に摘み取って日にあたるようにします。しかし今年は強すぎる日差しから守るため、葉を摘み取らない選択をした生産者が多くいます。そのため、全体的に赤みが薄いりんごが多くなりました。
色づきにバラつきがあるりんご
赤りんごに限らず、ぐんま名月やシナノゴールドのような黄色いりんごも、暑さの影響と思われる赤色の斑点が出ているものが発生しています。このような斑点は味には影響がないため、らでぃっしゅぼーやでは斑点の理由をご説明したうえでお届けしています。
ぐんま名月の赤い斑点。味には影響ありません
そのようないつもと違うりんごの出来により、作業現場もいつも通りとはいきません。少しでも「市場の規格に合うりんごを」と、ギリギリまで樹上で色を付けようとすることで収穫作業が後ろ倒しに。そして収穫後の検品・選別作業もいつも以上に時間がかかります。短期間で膨大な作業に追われ、作業が追い付かないこともりんごの出荷量の減少を助長。さらに円安や海外需要の高まりを受け、りんごの価格は高騰しています。
らでぃっしゅぼーやでは、フードロス削減や産地の経営を支えるため、そして何より品種や産地などさまざまなりんごをお客さまに楽しんでいただきたいという想いから、色・形などの見た目は幅広く受け入れてお届けしています。もちろん、お客さまがおいしくお召し上がりいただける味・品質であることは守りながら、生産者と協力し選定基準を見直しています。
アップルファームさみずとの「目揃え会」
(今年の出荷基準を確認する会)
このような状況でも柔軟に選定基準を見直すことができる「めぐる野菜箱」があるからこそ、生産者も希少なりんごの価値を落とさず出荷することができます。
もしりんごが届きましたら、「どれどれ、そんなにいつもと違う見た目かな?」とまずは外観をよくよく眺めていただき、そしておいしくお召し上がりいただきながら、産地へ想いを馳せていただければ幸いです。