4月のブロッコリーは農家泣かせ
(祝!「指定野菜」昇格)
ブロッコリーが指定野菜に昇格します。調理がしやすく、様々な料理に使えるブロッコリー。多くの野菜の生産量が過去10年間横ばい、あるいは減少しているのに対し、ブロッコリーは3割近く出荷量が増えています(※1)。国民生活に欠かせない野菜として、2026年度からの指定野菜への追加が農林水産省より発表されました。
指定野菜の追加は1974年のじゃがいも以来、約半世紀ぶり。指定野菜になると、安定した供給のため、価格が下落した場合など国が生産者を支援するようになります。
そんななか今年も、安定した出荷が難しい「春」がやってきました。特に4月は端境期と呼ばれ、市場価格も乱高下するほど全国的にブロッコリーの出荷が不安定になります。
この4月の出荷を目指し、各産地では栽培方法を分けて対応しています。1つ目の方法は、10月に植えてゆっくりと時間をかけて育つ、寒さに強い晩生品種を栽培すること。
晩生品種を栽培する「岡村グループ」のブロッコリー畑
2つ目は、元々生育が早い早生品種を年末頃に植え、畑に「トンネル」と言わるフレームを作り、温度コントロールをしながら一手間も二手間もかけて生育をより早める工夫をして栽培すること。
トンネル栽培の例
加えて、4月の1週目から4週目まできちんと収穫タイミングをずらせるような工夫もします。晩生、早生のそれぞれで複数の品種を用意し、植え付けのタイミングをずらします。
このようにできる限りの準備をしても、激しい春の気温変化よって、3月中に収穫終了になってしまったり、4月後半からしか出荷できなくなってしまったりと、4月のブロッコリーはとにもかくにも不安定なのです。
10月植えの晩生品種をグループ全体で栽培する岡村グループの岡村さんはこう話します。
「準備はしている。あとは天候次第で毎年神頼みだよ~来年も栽培するつもりだけど、年々さらに厳しくなっているよね。」
不安定な春の気候に加え、ここ数年の異常気象の多さに悩まされています。常に販売されていて手に入りやすい野菜というイメージですが、その背景には、生産者が天候に対して試行錯誤しながら、途切れなく出荷している努力の賜物なのだと気付かされます。
今年の4月もなんとか切らさずお届けできるように、空に願うばかりです。
※1) 農林水産省「作況調査(野菜)」 参考
令和4年度(2022年度)ブロッコリー出荷量:157,100t
平成24年度(2012年度)ブロッコリー出荷量:122,500t
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