梅しごと、今年はどうなる?
~宮崎有機農業研究会(宮崎県)・萩本農園(奈良県)~
昨年は“10年に一度”の大不作
「今年の梅は大丈夫なのか?」梅産地、農産担当、企画担当など関係者の間では、年明け頃からずっと梅の出来を憂慮する言葉が飛び交っています。
昨年は10年に一度ともいわれる全国的な大不作。らでぃっしゅぼーやでも各産地と調整し出荷できる梅をかき集めましたが、それでも一部お届けすることができずご迷惑をおかけしました。
梅が不作になる原因は?
不作の主要因は「暖冬」で、例年より2週間~1か月以上開花が早まった地域もありました。近年、果樹栽培にとって最も重大な問題として、
『冬に暖かい日が続き、開花が早まる』
↓
『その後、寒い日や曇天・雨の日が続いてミツバチ等が動けない』
↓
『受粉が不十分で実が着かない』
という負のループが続いています。他にも花が咲いても未熟花で受粉ができない等、色々な要因があります。

受粉において重要な役割を担うミツバチ
それで今年はどうなのかというと、全国的には昨年に比べ冬にしっかりとした寒さがあったため開花は遅れ気味。場所によっては昨年比で1か月以上開花が遅い地域もあり、よい兆候です。一方で、九州南部の鹿児島や宮崎では昨年並みに開花が早く進んでしまいました。
宮崎県ではミツバチ不足で受粉が進まず
宮崎有機農業研究会を訪問した3月中旬、梅酒用の品種「白加賀」などは既に開花を終えて散った後で、晩生の「露茜(つゆあかね)」が満開を迎え見事な花を咲かせていました。

満開を迎え咲き誇る露茜

梅とすももをかけ合わせた露茜。梅酒にすると美しい赤色に仕上がります
しかし生産者の黒木さんからは「ハチが飛んでいない」の一言。
その日は気温18℃程で天気はよかったものの、確かにハチの気配がありません。黒木さん曰く「いつもなら晴れて気温10℃以上あれば、ミツバチがブンブン飛んでいる」とのこと。寒さの影響か、はたまた別要因か?わかりませんが、ハチが飛ばなければ受粉はできません。

宮崎県都農町の「露茜協議会」の会長も務める黒木さん。除草剤不使用での栽培に取り組む貴重な存在です
後日、「白加賀」はやはり実がほとんど着いていないという連絡が…。「露茜」はまだわかりませんが、宮崎は相当な不作になりそうです。5月中盤頃から宮崎の青梅も出荷予定ですが、今年は厳しそうな見通しです。

本来なら鈴なりに実が着く時季ですが、スカスカな状態
和歌山では、まさかの降雹
それでは他の地域は?
6月頃からお届けが始まる予定の三重、和歌山、奈良エリアは、昨年と比べて開花は2週間〜1ヵ月ほど遅く「ミツバチもそれなりに飛んでいる」という情報も。

奈良県萩本農園の開花状況は、3月14日時点で2分咲きにも満たないくらいで例年よりも遅めでした

萩本農園の萩本了一さん(右)と息子の賢一さん(左)
しかし4月上旬、なんと和歌山最大の梅産地である田辺市やみなべ町で雹が降ったとの一報が…。被害状況は調査中ですが、7〜8割がダメになってしまった生産者も。今年こそは順調に行きそうだったところに、大ダメージになりそうです。
今後も梅の最新情報を発信していきます
やはり今年も厳しい年なのか?次々にバッドニュースが舞い込んでいる最中ではありますが、場所によっては順調な地域も。全体的な状況は、まだ見通せません。
今後も畑だよりや梅の販売ページなどで最新の産地状況をお伝えできればと思います。
不安定な状況ではありますが、梅ジュースや梅酒、梅干しなどを漬けて楽しむ文化を今後も続けて行けるよう、現場で何ができるのか考えて行きたいと思います。

梅をお届けできなかったお客様へお詫びとお礼~畑だより特別号~(2024/6/21)
「梅の実がない…」暖冬、雹、カメムシ被害~今年の梅のお届けについて~(2024/5/31)
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