台風2号、とうもろこし被害のその後
あっぱれ天恵(愛知県)
「50年でこんなに雨が降ったことはない」
先月6月2日、台風2号の接近に伴い線状降水帯が発生し、大雨によりとうもろこし畑が被害に遭った愛知県渥美半島の生産者、あっぱれ天恵の杉浦さん。ご自身の経験で一番の大雨だったと話します。6月の畑だよりでも直後の様子をお伝えしましたが、とうもろこしを選別しながら何とか出荷し終盤を迎えた杉浦さんの元へ、その後の状況を伺いに行ってきました。
渥美半島は礫質土壌で水はけが良い特性がありますが、畑は冠水し水が引かず、とうもろこしは根腐れし、一部の畑は全滅となったそうです。6月初週は予定の半分も出荷できず、出鼻を挫かれることになったともろこしシーズンの始まりでした。
1月には10年に一度といわれる大寒波が襲い、作物に影響を及ぼしました。そして今回は大雨。「天災ばかりで参ったよ」と杉浦さん。気落ちしながらも、反面学びもあったそうです。土壌の質や風の向き、太陽の当たり方などは畑によって異なり、一つとして同じ条件の畑はなく、杉浦さんは毎日畑で食味を確認します。畑によって味が異なったり、日によっても変化を感じるといいます。
普段からそんな風に細部に向き合う杉浦さんでも、今回の雨の影響は想定外。被害は生じたけれど、「それも一つの経験となり教訓」「全部がやられたわけじゃない」と話します。何より就農3年目の息子さんが、この短い期間でこのような経験をしたことも財産になると。とうもろこし畑を見つめる杉浦さんの姿に何だか胸が熱くなりました。「野菜を育てているのではなく“成長の手助け”をしているんだよ。今日は水はいるかい?どう?」と問いかけながら毎日向き合っているそうです。それを聞いて二児の父である私はどこか子育てと重なる部分を感じ、泣きそうになってしまいました(笑)。
持続可能な農業を目指し、目指すだけではなくそれをやらないと意味がないという杉浦さん。環境変化が激しい昨今、変わらないために変わり続ける姿勢を目の当たりにし、不思議と帰り道には当初の心配は薄れていきました。熱い言葉を浴び、畑でかじるとうもろこしは何とも最高でした。被害を乗り越え、既に前を向く杉浦さん!来シーズンも、味も愛ものったとうもろこしを、また楽しみにしています!