未来を担う後継者(農家の減少)
利根川みどりの会(群馬県)
「お久しぶりです。」とエンジンを止め、ごぼう収穫機から降りて笑顔で挨拶してくれたのは、利根川みどりの会の代表の定方さんのご長男。6月上旬、群馬県太田市の利根川みどりの会を訪問しました。
初めて会ったのは昨年12月。農業を継ぐために長年勤めた会社を辞め、千葉に建てた新居を売り払い、家族4人揃って引っ越しされて間もない頃でした。定方さん(お父さん)に畑を案内してもらいながらメモをとる私の隣で、一緒にメモをとっている息子さんの姿がありました。住まいが変わり仕事が変わり両親が上司に変わりと、人生の大きな変化を受け入れ、定方さんの言葉に真摯に耳を傾ける姿勢から、その覚悟が伝わってきました。今回も一緒に畑をまわりながら就農の様子を伺いましたが、学んだことを自分の言葉で話してくれたり、慣れた手つきでごぼう収穫機を運転する姿を見て、不安よりも楽しんでいる印象を受けました。前回会ったときよりも日焼けしていて、この暑さのなかでも毎日作業しているのがよくわかります。
日本における農業従事者の減少は深刻で、農林水産省によると2020年の農業従事者は2015年比で22%減少、2005年比では39%減少しています※1。2022年の65歳以上の割合は70%、平均年齢は68.4歳です※2。離農する高齢農家の数を、新規就農者数が上回らない状況が続いています。
野菜作りは、同じ地域でも土質、水はけなど条件が全く違い、長年の取り組みによって紡ぎ磨き上げられてきた財産といっても過言ではありません。後継者がいないことで耕作放棄地が増えることは、貴重な財産が失われている状況でもあります。定方さんの畑は、土壌微生物の多様性を重視した土づくりを行います。定方さんが就農してから手入れをしている畑と、借りて5年ほどの農地では、作物の成長具合や食味など、差がはっきりと表れるそうです。定方さんの技術と畑を息子さんが継承する姿に明るい未来を感じることができました。世代が変わっても継続した取り組みができるように、らでぃっしゅぼーやも支えていきたいと思います。
※1)農林水産省「特集 変化(シフト)する我が国の農業構造」より
※2)農林水産省「農業労働力に関する統計」より