端境期をつなぐ、春の葉付き人参
~有機栽培あゆみの会(千葉県)~
3月のさわやかな青空が広がる日、千葉県有機栽培あゆみの会の人参畑を訪問してきました。
人参はいつの季節も私たちの食卓を支えてくれる、ありがたい存在。冷涼な気候で育つ冬が旬の野菜ですが、通年需要があるため産地が移り、全国をリレーして出荷されます。

それでも毎年隙間ができる時期が夏です。近年の異常な高温で発芽しなかったり、芽が出ても焼けてしまったり、雨不足や干ばつの影響で成長しなかったりと、この数年は8~10月が端境期となり、各産地が苦労しています。
今年は3~4月も端境期が発生中
さらに今年は、まさに今3~4月の出荷量も不足しています。春人参の収穫は、早い所で4月後半から5月中旬頃です。春人参の登場までをつなぐのは、秋冬人参。味が落ちる前に収穫をすませ、貯蔵しながら出荷することで、春人参の登場までをつなぎます。
しかし今年の秋冬人参は全体的にサイズが小さく、生育不良で収量が上がりませんでした。
その結果貯蔵量が例年より減少。これまで春に人参が少ないということはありませんでしたが、これも気候変動の影響が大きいと言えそうです。
人参不足をつなぐ、葉付き人参
そんな春のはざま、ひときわ目を引く人参が登場します。葉付き人参です。まだ若くみずみずしいその姿は、ふさふさとやわらかな葉をたたえ、まさに春の訪れを感じさせてくれます。

葉付き人参ならではのふさふさの葉
人参の葉は収穫中や貯蔵中に枯れてしまったり、輸送中に葉の鮮度を保持するのが難しかったりするので、 基本的には「葉なし」でお届けするのが普通。

そんななか、春は収穫してすぐにやわらかな葉付きでお届けするのに適した貴重な季節!
通常はキャロベスターと呼ばれる人参収穫機で葉をカットしながら収穫しますが、葉付き人参は1本1本丁寧に手で掘り上げる必要があり、手間がかかります。

葉付き人参生産者、あゆみの会の伊藤さん
また、葉が大きくなると硬くなってしまうため、まだ小さめな時期に収穫し4~5月上旬にかけてお届けします。人参不足のなかでも季節を感じさせてくれる嬉しい存在です。
数が多くないためお届けできる量に限りがありますが、届いたらぜひ春ならではの味をお楽しみください。