らでぃっしゅぼーや

今週の畑だより

らでぃっしゅぼーや農産担当による
畑の"今"を届ける産地密着コラム

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「とちおとめ」から「とちあいか」へ
栃木県のいちご、新時代へ

今大きな変革期を迎えているのが栃木県のいちごです。

栃木県のいちごといえば「とちおとめ」が有名です。栃木県では約20年間「とちおとめ」が主力品種として君臨していました。

しかし2024年産のいちごの栽培面積において、急激に栽培面積を伸ばした「とちあいか」が6割となり、トップになったと報じられました(※1)。栃木県では、2027年までに「とちあいか」の栽培面積を8割まで増やす計画です。

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「とち」ぎで「あい」される「か」じつに、と願いを込めて名付けられた、とちあいか

らでぃっしゅぼーやの生産者「栃木有機いちごの会」でも、昨年まではほぼ全量とちおとめでしたが、今季は全量とちあいかに切り替わる予定です。

品種が変わると栽培のコツも変わります。適応できずに失敗するリスクもあるため、徐々に切り替えていくことが多いのですが、これだけ大胆な切り替えはあまり例をみません。

「とちあいか」の魅力は、大粒で甘みが強く酸味が少ないこと。

ぶどうならシャインマスカットのような、今の時代に受けいれられやすい味わいです。

果物全体の傾向として、酸味が少なく甘みの強い品種が拡大しています。りんごなら「ぐんま名月」、さくらんぼなら「紅秀峰」がそのタイプ。「ふじ」「佐藤錦」「巨峰」「とちおとめ」など、酸味もしっかり感じつつ甘みとのバランスがよい、これまでの主力品種から徐々にシェアを奪っています。

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らでぃっしゅぼーやのお客様からは、酸味がしっかり残った昔ながらの品種の方が好きという声もよく聞きます。生産者の中にもそういう方は多くいます。

それでも生産者に「とちあいか」が支持される理由は、作りやすさです。「とちおとめ」が悩まされてきた萎黄病に強く、収穫量も多い。また大粒のため、比較的作業の手間がかかりません。

近年のいちご農家の悩みは「人件費の高騰」です。らでぃっしゅぼーやのいちご生産者のほとんどは「土耕栽培」ですが、土耕のいちごは生産コストの7割以上が人件費といわれ、その大半を占めるのが収穫作業とパック作業です。

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この人件費が、最低賃金の上昇と人手不足による相場高騰などであがっており、人を雇っている規模の大きな生産者ほど「作っても赤字」となりがち。いちご農家にとって作業性は重要なのです。

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とちあいかのもう一つの魅力は、比較的実が硬いため「輸送に強い」こと。いちごにとっては非常に重要なポイントです。

お客様の顔が見えるらでぃっしゅぼーやの産地は、より味を重視し、できるだけ完熟に近い状態まで待って収穫します。反面、その分だけ実が軟らかくなり輸送のリスクを抱えることになります。

返品を避けるには、若く実が硬いうちに収穫すればよいことになりますが、そうするとおいしくないいちごになりがちです。「とちあいか」はそんな輸送リスクにも強い品種なのです。

さて、このように生産者が手間ひまかけて納品したいちごについて、らでぃっしゅぼーやの取り組みをひとつご紹介します。

1パックのいちごで1粒傷んでいた場合、通常は1パックまるまる「返品」対象になるのが商習慣ですが、らでぃっしゅぼーやでは、その1粒を取り除き、ほかの問題ない粒は詰め替え作業を行いお届けしています。

産地から出荷される時点では問題がなかったものが、輸送中の振動で傷つくことは多く、その問題を生産者にすべて背負わせるわけにはいきません。

かなり手間のかかる作業ですが、生産者の育てた1粒1粒を生かすことができます。また生産者にとっても返品が減ることで、硬く早いうちに収穫するのではなく、ギリギリの熟度まで待っておいしさに自信を持った状態で出荷することができます。

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さて、今年からはいちごに必ず商品説明のカードを同梱しています。QRコードからは、生産者へのメッセージや感想をお送りいただけます。

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いちごに同梱のカードから、ご感想をお送りいただけます。

みなさんからいただく声が、次のいちごの味を決めてきます。もしいちごが届きましたら、ぜひ忌憚のないご意見をお寄せください。

※1:2023年11月6日付「日本農業新聞」より

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