らでぃっしゅぼーや

今週の畑だより

らでぃっしゅぼーや農産担当による
畑の"今"を届ける産地密着コラム

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温州みかん、大不作

近年の猛暑や干ばつはさまざまな野菜・果物に影響を与えており、畑だよりでも厳しい状況をお伝えすることが多くなっていますが、今度は温州みかんが大不作です。

温州みかんは、9月中旬頃に極早生みかんが出回りはじめ、早生温州みかん→普通の温州みかんと時期を追って出荷されますが、特に出はじめの極早生と、11月までがピークの早生みかんが大打撃を受けています。

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熊本県の草枕グループ、右田さんの早生みかん畑。実成りがまばらで、色づきも遅れています

台風が”恵みの雨”となった今夏の干ばつ
特に九州、広島、愛媛などみかんの名産地では、今年の夏の猛暑に加え、7月中旬から8月末の台風まではほとんど雨が降らず、台風10号は”恵みの雨”として歓迎されたほど。しかしその後も9月下旬までほぼ雨の降らない極端な気候でした。

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熊本県水の子会、鹿内さんの温州みかんの樹。通常の3割程度しか実が成っていません

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左の樹には実がありますが、右の樹にはほとんどありません。樹によって差が激しいといいます

今年はみかんの「裏年」といわれていました(裏年とは、果樹が前年たくさん実をつけた翌年は、実が少なくなる現象。たくさん実が成る年は「表年」といいます。樹を休ませながら実をつける果樹の自然のサイクルです)。なので元々やや不作予想ではありましたが、この猛暑・干ばつで樹が弱ったり極端な日焼けをしたりで、畑によってはみかんの大半が落果してしまう場所も。

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落果が激しい、鹿内さんの早生みかんの樹

干ばつで果実が肥大できず、出始めの極早生みかんは壊滅的な状況となり、例年は2トン程出荷する熊本のみかん生産者も、今年は1桁少ない200~300kgしか出荷できなかったと嘆いています。

長引く猛暑で着色の遅れ、害虫被害も
その後10月に入り雨は増えていきましたが、気温はなかなか下がらず、特に夜温が下がらないためみかんの色づきも進まず、通常より10日程遅れている状況です。

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長崎県、長有研の花子みかん。例年は10月末でほぼ黄色ですが、今年はまだまだ緑のものもあり、まばらです

更に高い気温が続いたことで、地域によってはカメムシやヤガ(蛾の一種)の被害が続き、特にヤガに吸われた実は傷んだり落果したり。寒くなれば死滅する虫たちが、なかなかいなくなりません。季節に応じて気温が適度に下がらないと、様々な弊害が出てしまうことを改めて痛感します。

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ヤガに吸われるとこのように内部まで傷み、落果します

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収穫前に吸われ落果しなかったものを見落としてしまうと出荷後にカビや傷みの原因になります。

すでにお届けした極早生や早生みかんも、検品時にこの被害に気付けずお届けしてしまい、皮を剥いてみたら傷んでいたというお問い合わせもいただいています。ご迷惑をおかけして申し訳ございません。検品を強化してまいります。

冬の果物不足がはじまっています
正直11月にここまでみかんが不足するという事態は、長く農産担当をしてきたなかでも記憶に無く、今年はりんごの不作や柿の虫害・高温障害などもあり、既に果物全体が不足しはじめています。

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長有研のみかん名人、馬場さん。実成りの良い樹を選んで撮影させてもらいました。今年はこのようにたわわに実っている樹は、ほんの一部

11月後半、12月には冬らしい寒さがきてくれれば晩生みかんや中晩柑類の色づきが進んでくれるので、ちゃんと寒くなってくれる事を祈りつつ、今年の貴重なみかんの味を噛みしめたいと思います。

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脅威にも、救世主にも~台風と農業~(2024/8/23 畑だより)

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